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あーさーのひとりごと

交通・社会について駄文を書き連ねる

JR北海道 函館本線 妹背牛〜深川にて踏切内に進入したダンプと特急が衝突

ふと書きたくなったので今日のニュースを。

2010年1月29日午後0時20分頃、JR北海道函館本線 妹背牛〜深川間の踏切にて、旭川発札幌経由新千歳空港行・L特急スーパーカムイ24号(JR北海道789系電車・5両編成(HL-1005編成)、乗客102人)が、遮断機の下りた踏切内に進入し立ち往生したダンプトラックと衝突する事故が発生。ダンプは踏切の存在に気付くのが遅れ、ブレーキを踏んだものの当時路面がブラックアイスバーン状態になっており、スリップして踏切内に進入、間もなく特急と衝突した。特急はダンプを発見し、非常ブレーキを掛けたが間に合わず、踏切を200m程過ぎて停止した。現場の気候は当時風速5m程で、雪が降っており視界の非常に悪い状況だった。
この事故によって、ダンプは200m程札幌側に飛ばされ、運転席部と荷台部分が分離、さらには車軸やタイヤがバラバラになるほど大破した。特急は衝突時の衝撃で先頭車が脱線、運転台下部分が大きく損傷した。乗客、運転士と車掌、ダンプの運転手合わせて41名が負傷して近くの病院に運ばれた。これにより函館本線滝川〜旭川間が不通となり、乗客はJR北海道の手配した代行バスでの移動となった。
警察や国土交通省運輸安全委員会などの検分が行われ、事故車両の処理が行われるまでは運行を再開することが出来ず、午後10時現在でも運行のめどは立っていない様子。


今回の事故について
TVやネットのニュースの画像を見ると、特急先頭車の運転台下が大きくえぐれるように凹んでいる。特急は最高速度の130km/h近くで走行しており、ダンプとの衝突時の衝撃は相当なものだったと予想される。
今回はこのJR北海道の特急車両について、少し書きたいと思う。

さて、事故に遭った特急車両の789系電車は高運転台車両と呼ばれるものであり、北海道の車両では他に、特急スーパー北斗キハ281系気動車、特急スーパーおおぞら・北斗のキハ283系気動車、特急スーパー宗谷・とかちのキハ261系気動車、731系電車やキハ201系気動車等の一般車両が該当する。これらの車両のうち、特急車両の多くはツチノコ型の独特な形状をした先頭車であり、このような車両が多いのがJR北海道の車両の特徴となっている、と言っても過言ではないだろう。
鉄道車両に関わらず、乗り物に見た目は大切であるが、これらの車両が誕生したきっかけというのは、決して見た目が第一である訳ではない。


1991年1月のこと、日高本線勇払〜厚真間にて、キハ130系気動車が踏切内に進入したタンクローリーと衝突、気動車運転台部分が大破した。なんとこの時の運転士は両足切断の重傷を負っており、その事故の教訓が生かされたのが、当時開発していた寒冷地向けの振り子装置を備え、1994年から営業運行が開始(試験車は1992年)されたキハ281系気動車である。
その後開発された731系(1996年)→キハ201系(1997年)→キハ283系(1997年)→キハ261系(2000年)→789系(2002年)とキハ281系の教訓は受け継がれており(731系・キハ201系のみ先頭車形状がゴツゴツしたタイプでツチノコ型ではない)、2007年に導入された789系1000番台も、もちろんこの高運転台車両である。

実は、スーパーカムイはもう1種類の車両も併用されて運行されている。その車両が785系電車であるが、こちらの車両は日高本線の事故前の1990年に製造された事もあって、一般的な車両と同じ低運転台車両である。
仮にこの車両が運用に入っていた時に今回の事故が発生していたら、と考えると非常に恐ろしい。
今回は日高本線の事故の教訓を活かすことができ、怪我人こそ出たものの、上記の事故の様な悲惨な結果にならなかったのは大いに評価すべきだと思われる。

ところで、JR北海道の特徴ある高運転台特急車両が鉄道ファンから注目される理由の一つに、先頭車連結部から前面展望を楽しむことができる、というのがある。
上で挙げた高運転台特急車両の画像をWebで検索すると、運転台の下に人が立っている画像が見つかることがある。保線作業員の前方確認用として使われることも多く、黄色いヘルメットを被った作業員の方が写った画像もよく目にするが、業務用に使用していない時は乗客が立ち入って景色を楽しむ事が可能である。

事故区間の特急は他に、札幌〜旭川〜稚内間のスーパー宗谷サロベツ、札幌〜旭川〜網走間のオホーツクが運行されており、スーパー宗谷キハ261系が高運転台車両にあたるのだが、今回事故に遭ったのが仮にスーパー宗谷だった場合、先頭車での乗客の死者が出ていたかもしれない。
なぜ同じ高運転台の789系1000番台ではそのような事故になる可能性が低いのかといえば、それは789系1000番台は前面展望が不可能である為である。789系は増結をせず5両固定編成で運用することを前提にしている為、デッキより先に乗客が立ち入ることが不可能(必要性がない)という訳だ。大袈裟ではあるが、もしかしたらこの構造が事故の被害を少なくした、のかもしれない。筆者としては前面展望が出来たほうが嬉しいのだが。

また、サロベツやオホーツクに使用されるキハ183系気動車の一部の車両は低運転台であるだけでなく、乗降口が1ヶ所である都合から運転室手前まで客室になっている場合がある。この場合は運転士だけでなく、乗客にも甚大な被害が出ていたとしてもおかしくないと思われる。

今回の事故は多くの条件が重なり、運よく重大事故にならずに済んだのかもしれない。だが、このように被害が余り大きくならなかったのも、過去に大きな被害に遭われた方がおり、そしてその後の研究をした開発担当の方々のお陰であることは忘れてはならないだろう。

ほぼ車両だけについて語ったので、道路側の設備についてほんの少しだけ述べるが、現場の踏切にはオーバーヘッド型の鉄製縞模様の設備が設置されていなかったようである。これは本来、クレーンや車高の高い自動車が架線を引っ掛けて切断しないようにする為であるが、これがあれば、今回のような悪天候での自動車側の視認性も幾分か向上するのではないかと思う。せめて、踏切予告の標識をしつこい位に立てるだけでも効果はあるのではないだろうか。

究極の妄想としては、札幌〜旭川間全面高架、立体交差化や、北海道新幹線旭川延伸なのだが(^-^;
それは夢のまた夢ということで……